親鸞聖人像の造形にどのようなものが見られるか約1000体を対象に割合を調査しました。

8割以上を占めるスタンダードタイプ
親鸞聖人像の造形は、8割以上が右手に杖、左手に数珠、頭に傘をかぶった旅姿。これは、広瀬精一氏の寄贈した像などの初期モデルが主要な別院等に設置されたため、それが全国に普及していったのではないかと思われる。また、「浄土真宗 唯」によると、傘を被っているのは、親鸞聖人を雨ざらしにするのは忍びないという安芸門徒の声が影響しているのではないかという説が興味深い。お墓においても、広島では「南無阿弥陀仏」を雨ざらしにすることを避けて、「倶会一処」などの仏語を刻む例が多いという。

同様のカタチの中でも販売業者が所持する型によって少しずつ違いが見られ、右足が前に出た姿、数珠を少し前に差し出した姿、右手を片手合掌している姿などがあるが、これらも8割の中に含む。



童形スタイル(4.8%)
次に多いのは、幼少時代の聖人像。童形(どうぎょう)型と呼ばれ、全体の5%ほどを占める。こちらも髪が伸びた姿と短い姿などの違いがみられるが、主に髪の長い造形が主流。設置場所はお寺が運営する保育園に多く見られる。



風になびくスタイル(4.4%)
傘を手でおさえる風になびく姿は、平成以降の建立に見られるのでわりと最近の造形。老子製作所によると「遠望のお姿」と名づけられている。


鏡のご影スタイル(3.9%)
親鸞聖人70才頃の肖像画「鏡のご影」は、鏡に写したように写実的ということから名づけられている。その肖像画を元に立体化した像。


傘を手に持つスタイル(3.4%)
この造形も少数ではあるが全国に点在している。

以上が主な造形となり、他がごくわずかの一点もの造形となる。石像に関しては鋳物のような型がなくそれぞれに違いがあるため分類が難しかった。次に調べる機会があれば、石像は石像だけでジャンル分けしておいたほうがよいのかもしれない。