お寺イベントの20年史

2000年以降のお寺の動きに注目してきました。
先に、ここに記したイベントは、自分と距離の近いものが多く含まれ、これ以外にも数多くの企画が全国に生まれ続けていることを前置きとして記しておきます。

エンターテイメント性を高めた発信型
事の発端は2005年、築地本願寺で行われた音楽イベント「他力本願でいこう」。浄土真宗本願寺派の記念事業として行われたこのイベントは、初回のメインゲストにみうらじゅん、他数組のミュージシャンが並び、お経や法話も同列に並ぶいわゆるお寺フェスの形態で、2000人以上の人が本堂の中に入れないほど溢れていました。「他力本願でいこう」は、お寺音楽イベントのパイオニア「誰そ彼」がモデルになっています。まだフェスという言葉も一般化される直前の話で、当時はお寺業界のみならず、各方面へ大きな影響を与えました。地方の一般寺院へも波及していき、それぞれの個性を出していきます。本願寺派では後に全国の各別院でお寺フェスが行われていく布石になっていたと思います。当時の築地本願寺は、かなり攻めた企画を立て続けにおこなっていたので、賛否の意見が出る中、問題視扱いされる時期がありました。結果、その功績に関しては誰も口に出さないようになったので、改めてその影響が10年以上経った今にも残っていることをここに記しておきます。

参加型とコミュニケーション
次に注目されるのは、2011年、参加型の複合フェス「向源」です。各地域で活動している個性的な僧侶たちを集めて、3回目以降、急速に拡大していきました。現在のお寺フェスにワークショップがいくつか入っているのも向源の影響がうかがえます。「向源」と同時期に、僧侶と交流の場を作る「僧職男子に癒されナイト」があります。参加型をさらに踏み込んだ距離の近いイベントで、参加者と僧侶の関係性を近づけていきました。フリースタイルな僧侶たちが企画した「アラサー僧侶とゆるーく話す会」も同系のもので、僧侶を前面に押し出したかたちで、後に坊主カフェや坊主バーが出てきます。

学びの場
発信型から参加型へ、参加型からさらにコミュニケーションを深めたスタイルへ。その次のキーワードは「学び」です。2009年、龍谷大学では現代社会に応じた実践的な学びを行う「実践真宗学」という挑戦的な学科を開設し、「ののさま」「グチコレ」「Deathカフェ」など数多くの活動を生み出しています。また、2012年には従来の仏教学校では学ばない視点から僧侶を育成する「未来の住職塾」が登場します。塾長の松本紹圭さんは仏教情報サイト「彼岸寺」を立ち上げ、「他力本願でいこう」の発案者でもあり、20年史の中ではかなりのキーマンです。その後、学びは必然的に一般へ向いていき、子供対象の「Tera school」、若者対象の「スクールナーランダ」、大人対象の「築地本願寺GINZAサロン」など、各宗派も本格的に乗り出していきます。

他に類を見ない活動としては、お寺と貧困問題をつなげる「おてらおやつクラブ」、登録制の悩み相談サイト「ハスノハ」など、元々あったものを現代にうまく繋げて活動しています。社会的な影響も年々大きくなり、最近では「テクノ法要」の大ブレイクをはじめ、先の「おてらおやつクラブ」のグッドデザイン大賞受賞は大きなインパクトを残しました。「カリー寺」という名を共有して各地へ広がっていく様子も興味深いです。極楽パンチ・麻田弘潤さんの「気になる仏教語辞典」など、若手僧侶による出版物も多数出されています。音楽、アート、ワークショップ、コミュニケーション、学び、支援。かなり出揃った印象です。これらの挑戦から学びつつ、今後のアクションにも注目していきたいです。