
他人に気に入られようとする心を、諂といいます。いまの言葉だと、おべっかとか、お追証(ついしょう)とか、へつらいとか、なんだか聞くだけで、いやーな感じがですね。
そうそう、ゴマをする、なんてのもありますね。なんでゴマをするというのかというと、あれ、ゴマをすると、すり鉢にもすりこぎにも、そこらじゅうにくっつくんですね。で、だれにでもくっつくというところからきたんだって。
それから、ごきげんとり、なんて言葉もあります。これは仏教語でして、譏謙と書きます。譏は、そしる。謙は、きらう。つまり、そしられたり、きらわれたりしないようにするにはどうするか、という戒律から出た言葉なんです。で、そうするには、ゴマすって、おべっかつかって、へつらうのかといえば、そんなことしたら心に鉄火、自分の心に怒りや卑屈さが残ります。要は、悪い事をせず、物を貯めず、ぜいたくしない、これなんですと。