
一番よい子はこの私で、ろくでもないのはみな他人・・・とくれば、もう天にものぼる気分になって、ハッハッハ!と高笑いもしたくなる。こんな心の状態を、増上慢といいます。要するに、のぼせて、増長して、手のつけようがないわけです。
こんな人を、昔から、日本では「天狗」といいます。鼻高々の赤ら顔、カンラカラカラと空を飛ぶ・・・。
「どう、あの人、天狗になっちゃって・・・」
で、この天狗といったら、お宮さんのまつりに出てくるので、仏教と関係ないように思っていた、という人も多いかもしれませんがじつはそうじゃない。天狗のもとは、インドのサンスクリット語でウルカーというんですって。これ、流れ星のことなんだそうですが、転じて、仏道修行をあやまって、俺ほどえらいものはいないという増上慢に陥ったものをさすことになったそうです。まあ、天狗になったらおしまいだけど、なるよなあ。