
もっけのさいわいという言葉があります。このもっけのさいわいというのは「勿怪」と書いて、つまり物の怪、もののけこことなんだそうです。で、もののけですから、思いがけないことという意味になって「物怪の幸い」と使われるようになったんです。
ところで、戒禁取見。聞きなれない言葉ですが、戒禁とは、仏教以外の外道の立てた戒律や禁則のことでありまして、そういう誤った教えを、ありがたくいただいて、これこそしあわせの道、さとりの道とうれしがっている人のことを戒禁取見の人というわけです。
そんな人、見たことないって? 冗談でしょ。茶ばしらが立ったとよろこんで、今日の運勢は吉とか凶とか、星座があっち向いたとか、キツネがついたとか、ヘビがそうしたとか、三りんぼうだ、友引だとか、交通安全のお札で事故がないとか・・・
みんなやってるじゃないですか。因果の道理に反するものは、みな誤りなんだけど、世の中、本当に勿怪がワイワイだねー。