
むかしからこのことわざはありましたが、当時はビンボーな人が、高い物や本物が買えないで、安物を買い、そのため、長持ちもしないので、また安物を買うこと、結局、ビンボーヒマナシということになる、とまあこんなことだったかと思います。
ところが、近頃はちょっと違うみたい。売り手の方がとにかく上手で、安物や偽物をいいものだ、本物だといって、高い値段で売りつける。これをまた、コロリとだまされて買うんだよねー、なさけないかぎりです。
ところで、悪見ーーーこれは、ものごとの真実を見る目を持たないことでありまして、細かく分けると、身見、辺見、邪見、見取見、戒禁取見と、五つあるといわれます。その説明は、あとの項へちりばめておきますが、とにかく、買い物で安物や偽物をつかまされたのなら、訴えもできますが、人生の本物と偽物も区別がつかず、一生、偽物で終わるとしたら、こりゃあ、とり返しがつきませんぜ。