2025年7月17日~9月20日に「カフェ愚禿」にて作家・玉分昭光さんの作品展「釈迦十大弟子と銅版画展」を開催するにあたり、ここに補足資料を記します。
釈迦十大弟子
「釈迦十大弟子(しゃかじゅうだいでし)」とは、お釈迦様のもとで仏道を学んだ多くの弟子の中から、特に優れた資質や功績をもつ10人を指す言葉です。それぞれが異なる才能や特徴を持ち、お釈迦様の教えを広めるうえで重要な役割を果たしました。十大弟子は、後世の仏教教団がその教えを体系化する中で、「○○第一(だいいち)」という称号をもって象徴的にまとめられたものです。
相関図

摩訶迦葉(まかかしょう)
お釈迦様亡き後の教団リーダー
弟子になって8日目に悟り、お釈迦様と袈裟(けさ)を交換したという。お釈迦様亡き後は、教団のリーダーとなり経典の制作にあたる。衣食住にとらわれずひたすらに修行したことから「頭陀(ずだ)第一」と呼ばれた。袈裟を何度も貼り継ぎし、生涯大切にしたという。

目連(もくれん)
お盆の起源となる物語の主人公
お盆の起源となるお経「盂蘭盆経(うらぼんきょう)」の主人公として知られる。超人的な能力を持っていたことから「神通(じんずう)第一」と呼ばれ、お釈迦様のボディーガード的な役割を果たしていた。そのため、お釈迦様のグループに恨みを持った人たちに殺害されてしまう。

優波離(うぱり)
理容師から僧侶へ。戒律を極めたストイックマン
出家前は貴族に仕える理容師。アナンやアナリツを含む6名の貴族が、お釈迦様の弟子に入る時、荷物持ちとして同行し出家を決意した。お釈迦様から先に弟子になる儀式をすすめられ、後に他6人の先輩として尊敬された。身分制度の厳しい当時のインドでは画期的な出来事であった。修行者の生活規律「戒律」に精通しよく守ったため、「持律(じりつ)第一」と呼ばれる。

阿那律(あなりつ)
視力を失い、真理を“見る”力を得る
アナン(お釈迦様の秘書的役割)と同じくお釈迦様の従兄弟にあたり、アナンとともに出家した。説法中に居眠りをしたことを深く反省し不眠を誓う。お釈迦様にも眠ることをすすめられるが、かたくなに断りついには視力を失う。しかし、それによって真理を見る力を得て「天眼(てんげん)第一」と呼ばれる。

伽旋延(かせんねん)
釈迦も一目置いた、ディベートの達人
子どもの頃から記憶力と理解力が高く、一度聞いたことは忘れず良く理解していたが、どうしても理解できないことをお釈迦様に聞き弟子入りした。その聡明さから「論議第一」と呼ばれる。生まれ育った自国に釈迦の布教を懇願した時、自ら帰国することを勧められ帰郷する。地方での伝道強化に大きな功績をはたした。

<上記5軸は前期(7/17~8/15)、下記5軸は後期(8/21~9/20)に展示>
阿難(あなん)
誰よりも釈迦の説法を聞いた優秀な秘書
お釈迦様の従兄弟で、秘書的役割を担い20年あまりお仕えすることで説法を特にたくさん聞いたことから「多聞(たもん)第一」と呼ばれる。お釈迦様が亡くなられる時、ひとり隠れて号泣し、長く立ち直れずにいた。誰よりもお釈迦さまの近くにいながらなかなか悟れず、釈迦滅後の経典編集会議(結集)前夜に悟る。

舎利弗(しゃりほつ)
ずば抜けた頭脳をもつ釈迦の理解者
お釈迦様に出会う前、十大弟子のモクレンと共に別のグループに属していたが、お釈迦様に感銘を受けてグループ全員を引き連れて弟子入りする。釈迦の後継者とも言われるほどずば抜けた才能を持ち「智慧(ちえ)第一」と呼ばれる。多数の経典で釈迦の聞き手として名前が登場する。

富楼那(ふるな)
元船乗りのバイリンガルは説法名人
お釈迦様の最初の弟子のひとり。弟子入りの前には船乗りの大商人として世界各国を回っていた。話し上手で60言語を習得していたといわれ「説法第一」と呼ばれた。すらすらよどみなくしゃべることを喩えて「富楼那の弁」という諺にもなる

羅睺羅(らごら)
釈迦の実子ゆえの苦悩を超える
名前は、お釈迦様の修行のさまたげになるということから障害という意味をもつ。生まれた時にはすでに父は出家していなかった。実子であるが故にまわりから特別な目で見られるため、自ら厳しい生活規則を守った。「密行(みつぎょう)第一」と呼ばれる。

須菩提(しゅぼだい)
元ヤンが無争と空を極める
元々は短気な性格であったが、出家後は争う心を持たない温和な性格に生まれ変わり、存在を消していたことから「無争(むそう)第一」と呼ばれる。また、物事にとらわれない「空」の思想をよく理解していたため「解空(げくう)第一」とも呼ばれる。

銅版画作品
玉分昭光さんが2020~2025年に制作された作品を20点展示します。作品販売をいたしますので、売れた作品はその場でお渡しし、新しい作品と入れ替わっていきます。









玉分 昭光(たまわけ あきみつ)
版画家。1975年岐阜県生まれ、富山県入善町在住。2000年富山大学大学院美術教育専修を修了後タイ、ブラジル、日本などで教壇に立ちながら制作発表をしてきた。2012年下山芸術の森発電所美術館、2015年第6回山本鼎版画大賞展優秀賞、2017年金沢湯涌創作の森にて個展開催、2018年黒部市美術館、そして、「第18回台湾国際版画ビエンナーレ展」優秀賞受賞を機に世界各地から展覧会依頼があるなど国内外で活躍している。
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釈迦十大弟子と銅版画展
◼ 会期:
(前期)7月17日(木)~8月15日(金)
(後期)8月21日(木)~9月20日(土)
◼ 日時:カフェ愚禿オープン中(13:00~17:00)
※通常は木・金・土曜オープン。8月は不定期の為、月間予定をご確認ください。
◼ 会場:カフェ愚禿-gutoku-(富山県黒部市宇奈月町浦山497)
◼ 出展:玉分昭光(銅版画家)
◼ 入場無料:カフェをご利用でなくてもご覧いただけます
◼ 展示内容
2019年に開催された展覧会「オテラ・ザ・エキシビジョン」で発表された、玉分昭光さんによる「釈迦十大弟子」を前期・後期に分けて5点ずつ展示します。あわせてカフェスペースでは、銅版画作品20点の展示販売も行います。作品は随時入れ替わりますので、ぜひ何度でも足をお運びください。
◼ 掛軸展示スケジュール
▸ 前期(7月17日~8月15日)
摩訶迦葉、目連、優波離、阿那律、伽旋延
▸ 後期展示(8月21日~9月20日)
阿難、舎利弗、富楼那、羅喉羅、須菩提