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民藝に宿る南無阿弥陀仏 OTETRA THE EXHIBITION

民藝と仏教の深い関わりをテーマにした展示会を開催します。
生活に寄り添う日用品にも美の本質が宿ることを発見した思想家・柳宗悦。彼が提唱した「民藝運動」には、ここ富山の地、そして浄土真宗の教えが深く関わっています。美は遠い存在ではなく、私たちの身の回りにあり心を豊かに育みます。仏教もまた私たちの生活を離れて存在するものではありません。お寺の空間の中で、仏具や仏画と民藝品や現代作家の作品を境目なく展示する企画をとおして、そのつながりを体感いただけたらと思います。

民藝に宿る南無阿弥陀仏 OTETRA THE EXHIBITION 3rd
■会期:2021年5月15日(土)~30日(日)
■時間:13:00~17:00(火曜定休、16日と22日は関連イベント参加者のみ)
■会場:白雪山善巧寺(黒部市宇奈月町浦山497)
■主催:白雪山善巧寺
■協力:大福寺、(一社)富山県西部観光社 水と匠、となみ民藝協会、D&DEPARTMENT TOYAMA
■入場無料
■出品:
大福寺…国内外の民藝品
水と匠ストア…芹沢銈介(型染絵)、金京徳(陶芸)、神谷麻穂(陶芸)、小路口力恵(ガラス)、作道僚子(ガラス)、アロマセレクト(精油、アロマスプレー)、松井機業(絹マスク)、ほか
D&DEPARTMENT TOYAMA:民藝関連の書籍など

<注意事項>
・会場内ではマスクの着用をお願いします。
・入場時には検温、手指の消毒をお願いします。体調のすぐれない方はご遠慮下さい。
・飲食の持ち込みは禁止です。


~関連イベント~
特別対談 太田浩史 ✕ 林口砂里
■日時:5月16日(日)10:00~15:00
■参加費:3,000円(昼食付)
■登壇:太田浩史(大福寺住職、日本民藝協会常任理事)、林口砂里(エピファニーワークス、水と匠)
■昼食:mebunryo-kichen
■時間割:
10:00 受付、企画展観覧
11:00 おつとめ
11:10 対談1
12:00 昼食(民藝の器を使用)
13:00 対談2
14:00 企画展観覧
【太田浩史】
1955年富山県生まれ。真宗大谷派大福寺住職・日本民藝協会常任理事・となみ民藝協会会長。大谷大学文学部卒。2007年から日本民藝協会常任理事を務める。「土徳」をモットーに、地域の風土やお講を大切にした教化の必要性をうったえる。
【林口砂里】
富山県高岡市出身。東京外国語大学中国語学科卒業。東京デザインセンター、P3 art and
environment等での勤務を経て、2005年に(有)エピファニーワークスを立ち上げる。国立天文台とクリエイターのコラボレーション・プロジェクト『ALMA
MUSIC BOX』や、僧侶、芸術家、科学者など多様な分野の講師を招く現代版寺子屋『スクール・ナーランダ』など、幅広い分野をつなげるプロジェクトの企画/プロデュースを手掛けている。2012年より拠点を富山県高岡市に移し、伝統工芸と先端技術が出合う『工芸ハッカソン』のプロデュース、2019年には、富山県西部地区の地域資源を活かして活性化を図る観光地域づくり法人「富山県西部観光社 水と匠」のプロデューサーに就任。

<注意事項>
・会場内ではマスクの着用をお願いします。
・入場時には検温、手指の消毒をお願いします。体調のすぐれない方はご遠慮下さい。
・プログラム中、定期的に換気を実施します。
・座席は間隔を空けて配置します。限定人数のため定員に達し次第締め切ります。
・昼食はテーブルにアクリル板を置き、間隔をあけて行います。

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静かな演奏会 うつくしきひかり
■日時:5月22日(土)16:00~17:30(開場15:00)
■参加費:3,000円
■出演:うつくしきひかり
【うつくしきひかり】
中川理沙(ザ・なつやすみバンド)とMC.sirafu(片想い、ザ・なつやすみバンド)によるピアノとスティールパンによるデュオ。その波形の織りなす強烈なアンサンブルは、歌ものでありながらも全く新しいアンビエントの形として、東京アンダーグラウンドシーンにてにわかに注目を集めている。2012年3月に待望のファーストアルバムをコンペアノーツより発表。そして、2014年6月、デザイナー惣田紗希との連名作品、「うつくしきひかりと惣田紗希/木漏れ日のうた」(7インチレコード+本)を同じくコンペアノーツよりリリース。

<注意事項>
・会場内ではマスクの着用をお願いします。
・入場時には検温、手指の消毒をお願いします。体調のすぐれない方はご遠慮下さい。
・飲食の持ち込みは禁止です。
・公演の前後に換気を実施します。
・座席は間隔を空けて配置します。限定人数のため定員に達し次第締め切ります。
・夜を避けて夕方に開催し、時間はおよそ1時間半です。
・会場内では静かに音楽を楽しみましょう。

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その他の行事
> ほっこり法座
> 4/18 花まつりマルシェ
> 4/28 正信偈に学ぶ

花まつりマルシェ2021


今年の花まつりマルシェは4月18日(日)に開催します!
お釈迦さまの誕生をご縁に、境内いっぱいに飾り付けられたチューリップの中で、魅力的なお店が並びます。本堂では、赤ちゃんの誕生を祝う「初参式(しょさんしき)」が行われます。昨年はコロナウィルスの影響で急遽中止となりましたが、今年は対策した上で規模を少し縮小しながら開催いたします。

花まつりの流れ
前日17日(土)
9:00~12:00 花かざり
当日18日(日)
10:00 初参式
10:40 マルシェスタート
13:00 お花シャワー、終了予定

【例年との変更点】
・入場口に検温ゲート
・七五三はお休み
・自前の出店(うどん、わたがしなど)は中止
・13:00に終了予定
・前日の花摘みは取り止め、花かざりのみ午前中に行う

初参式
(しょさんしき)
~赤ちゃんの誕生を仏前に祝う儀礼~
新たな命の誕生をよろこび、初めて仏さまにごあいさつをさせていただく大切な儀礼です。一生の記念にどうぞご参加ください。
時間:10:00(受付9:30)
対象:生後100日~2才頃まで
参加費:3,000円
申込み締切り:4/12
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出店紹介

grazie granita

インスタ映えのスイーツやサンドなど、グラグラでしか食べられないものをたっぷりご用意♡ドリンクも多数。
https://graziegranita0022.business.site/

ケーキハウスミユク

名水の里、黒部の地場産フルーツや地粉など使用して作った体に心に優しいケーキやお菓子を作っています。
http://miuku.jp

CAFE HAHAHA

黒部市内を拠点としてオーガニック、フェアトレード、スペシャルティコーヒーを専門とする移動カフェ。
https://www.facebook.com/cafehahaha.888/

源七

郷土料理”芋かいもち”を現代の暮らしに合わせて再編集。新感覚の「もちもなか専門店」
https://gensiti.net

宇宙玉

国産小麦仕様、無化調で美味しい移動販売のたこ焼きです。各種イベントに出店しております。
https://www.facebook.com/ucyudama.from.kaikidou/

HOLO家

ローフードの提供、ガラス体験工房、雑貨等を扱う宇奈月温泉街にあるお店。ネパールカレーを販売します。
http://www.holoya.net

チリングスタイル

「和の生活に北欧のデザイン性を+する」和と北欧の雑貨や玩具をセレクトして参加します。
http://www.chillingstyle.jp

バルーンアーティスト nana

モニュメント制作、パフォーマンスなどの活動をしているバルーンアーティスト。

大越仏壇

富山のお仏壇屋さんです。現代的な仏壇の展示をはじめ、可愛いろうそくや線香などを販売します。
https://www.oogoshi.co.jp

その他の行事
> ほっこり法座
> 4/28 正信偈に学ぶ
> 5/15 民藝に宿る南無阿弥陀仏

ほっこり法座(4~5月)

春のほっこり法座です。4/1は、著書「なぜ人はカルトに惹かれるのか」の著者でカルト問題に深く関わる大谷派の僧侶、瓜生崇先生が満を持してご登場です。5/16は民藝と仏教をテーマにした企画展に合わせて特別対談の特別プログラムです。いずれも申込み必須ですので、興味のある方はぜひお申込み下さい。

参加費:1,500円(昼食代込み)※5/16のみ3,000円
持ちもの:じゅず/服装:自由

さとりと念仏
4月1日(木)11:00~12:00
講師:瓜生崇(滋賀・玄照寺
私達が今称えているお念仏、これはお釈迦様のおさとりとどんな関係があるのでしょうか。釈迦なきあとの世界で、どうやってもさとれない人々がさとれないままで目覚めた、広く大きな願いについて、一緒に尋ねてみましょう。
<先生の活動>
>> 電子出版 響流書房
>> 浄土真宗の法話配信
>> 浄土真宗の法話案内

五濁(ごじょく)の世を生きる
4月16日(金)11:00~12:00
講師:飛鳥寛静(高岡・善興寺

お釈迦さまの時代から遠く隔たった濁世の今を生きる私たち。未来に生まれてくる私たちの現実を予見され、その苦悩から解き放ちたいと願われたお心をともに聞かせていただきましょう。
※五濁……世の中の5つの汚れ

仏と私をつなぐもの
5月1日(土)11:00~12:00
講師:雲林重正(新潟・淨秀寺)

私たちは言葉や形、表現を通して自分の想いを相手に伝えようとします。仏の心を表現した「荘厳」敬いの心から生まれた「作法」を通して、そこに込められたお心を伺ってみたいと思います。
※荘厳……本堂やお仏壇のお飾り

~特別対談~
民藝に宿る南無阿弥陀仏
5月16日(日)10:00~15:00
対談:
太田浩史(南砺・大福寺、日本民藝協会常任理事)
林口砂里(エピファニーワークス、文化、地域振興プロデューサー)
参加費:3,000円

善巧寺では5/15~30、民藝と仏教の関係性をテーマに、民藝品や現代作家の作品展示会を開催します。その展示会に合わせた特別対談です。お寺の空間に展示された作品を鑑賞し、対談によってそれを深め、食事は民藝の器を使用して体感するプログラムです。

太田浩史
1955年富山県生まれ。真宗大谷派大福寺住職・日本民藝協会常任理事・となみ民藝協会会長。大谷大学文学部卒。2007年から日本民藝協会常任理事を務める。「土徳」をモットーに、地域の風土やお講を大切にした教化の必要性をうったえる。

林口砂里
富山県高岡市出身。東京外国語大学中国語学科卒業。東京デザインセンター、P3 art and
environment等での勤務を経て、2005年に(有)エピファニーワークスを立ち上げる。国立天文台とクリエイターのコラボレーション・プロジェクト『ALMA MUSIC BOX』や、僧侶、芸術家、科学者など多様な分野の講師を招く現代版寺子屋『スクール・ナーランダ』など、幅広い分野をつなげるプロジェクトの企画/プロデュースを手掛けている。2012年より拠点を富山県高岡市に移し、伝統工芸と先端技術が出合う『工芸ハッカソン』のプロデュース、2019年には、富山県西部地区の地域資源を活かして活性化を図る観光地域づくり法人「富山県西部観光社 水と匠」のプロデューサーに就任。

<時間割>
10:00 企画展観覧
11:00 おつとめ
11:10 対談1
12:00 昼食
13:00 対談2
14:00 企画展観覧

その他の行事
> 4/18 花まつりマルシェ
> 4/28 正信偈に学ぶ
> 5/15 民藝に宿る南無阿弥陀仏

行信講座「正信偈に学ぶ」

講師:天岸淨圓先生
会費:2,000円(僧侶5,000円)
主催:専精会富山支部

【時間割】
13:30 おつとめ(帰三宝偈)
13:45 講義1
14:35 休憩
14:50 講義2
15:40 休憩
15:50 講義3・まとめ
16:30 閉会

※検温をお忘れなく発熱がある場合はお控え下さい。
※マスクの着用をお願いします。

その他の行事
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> 4/18 花まつりマルシェ

ほっこり法座2021

2021年のほっこり法座は2月1日からスタートします。常楽寺の今小路先生は今回初出講です。寒い時節ですので、法話は暖かい座敷へ移動します。食事はコロナ禍を考慮してテイクアウトできるお弁当を用意します。体調管理万全の元、心よりお待ちしております。

参加費:1,500円(昼食代込み)
持ちもの:じゅず
服装:自由

そもそも論から始めよう
2月1日(月)11:00~12:00
講師:今小路覚淳(富山市・常楽寺)

そもそも宗教とは何か?悟りとは何か?死んだら本当はどうなるのか?最終的にはそもそもなぜ、極楽浄土という教えがこの私に必要なのかをお話ししてみたいと思います。

ゼロから味わう仏教
2月16日(火)11:00~12:00
講師:日下賢裕(石川・恩栄寺)

「仏教ってどんな教え?」というところから味わいます。スライドも用いてできるだけわかりやすくがモットーです。前回までの振り返りも行いますので、初めての方でも安心してご参加いただけますよ!

仏と私をつなぐもの
3月1日(月)11:00~12:00
講師:奥野寛暢(富山市・妙行寺)

「仏」と「私」。よく見ると似た漢字ですよね。この二つは反対語のようで、お互いに切っても切れない関係にあります。この二つをつなぐ大切なものを、「蜘蛛の糸」という物語の中に聞いていきたいと思います。

ブッダの生涯
3月16日(火)11:00~12:00
講師:雪山俊隆(善巧寺)

お釈迦さま(ブッダ)はどんな人生を歩まれたのでしょうか。映画「リトル・ブッダ」の映像を参考資料にその足跡を辿ります。今回は出家からお悟りに至る前までを学びます。

ごねんきさま

「ごねんきさま」とは、33回忌や50回忌を最終年忌として盛大に行う法事です。正確には「ご遠忌(おんき)」といい親鸞聖人の法事に使われる言葉です。お軸は中央に阿弥陀如来、右側に親鸞聖人、聖徳太子、左側に蓮如上人、七高僧の5幅を安置します。吊り型の鐘「喚鐘(かんしょう)」や、特別な法要で導師が座る「礼盤(らいばん)」、ロウソク立てやお供物置きなど一式を前日に大移動します。

ひと昔前は、これらに加え、満願餅をついたり、仏様を運ぶのに行列を作ったりと、ご近所の人たちもみんな参加するとても大掛かりな行事でした。世の中のお祭りが神仏への儀礼が原点にあるということがよくわかります。さまざまな風習がありましたが、現在は厳選したエッセンスに絞って行っています。

今回は、親の願いを一身に受けた当主が、並々ならぬ想いで2年前から計画して実現しました。コロナ禍という状況もあり縮小せざる得ない箇所もありましたが、現在できうる最高のカタチでご法事を執り行いました。

導師は、礼盤(らいばん)にあがりおつとめします。
花びらに見立てた華葩(けは)をまきます。
読経中には、堂内を練り歩く行道(ぎょうどう)を行います。

おつとめは2節に別けて行い、前半では散華や行道、法話後の後半に、正信偈を中心にしたおつとめです。最後には御文章を拝読しました。

みんな逆さま 逆転めがね

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京都でお坊さんの研修会がありまして、そのとき心理学の先生が、おもしろいものを持ってこられましてね、「逆転めがね」というんです。これをかけると、とにかく上と下が逆さまに見えるというんです。
「かけてみませんか?」
おもしろそうなので、ハイハイと手をあげて、かけさせてもらったんです。
「わあーッ!」
いやあもうたいへんであります。とにかくなにもかもが逆さまで、床と天井がひっくり返っている。歩こうにも一歩も動けない状態です。
「はい、この鉛筆をどうぞ」
どうぞといわれても、その鉛筆がつかめない。何度か空振りを繰り返して、やっと手にすると、
「さあ、あなたのお名前を・・・」
もうどうにもなりません。一生懸命頭を働かせて、自分の名前を書こうとするんですけど、どうにもならない。しばらくかけていると頭が痛くなって、やっとその逆転めがねをはずさせてもらったんですが、字を見ると、これはもう赤ちゃんよりひどい、裏返しになったり、上下ころんだり、ナンノコッチャさっぱりわからんものでした。

で、先生のお話を聞いてみると、このめがね、一週間もかけていると、ちゃんと慣れてきて、歩いたり、食事をしたり、字を書いたりも出来るようになるとのこと。いや、もうけっこうです、と逃げたんですが、じつは、わたしたち、生まれたときは、どうやら、この逆転めがねでものを見るのと同じように見えていたんだそうです。それを、まわりのものがいろいろ教えて、逆さまが、まともに見えるようになってきたんだというんです。つまり、人は、育てる側によって育つわけで、見ることも、聞くことも、動くこともみなすべて、育てる側によるのだとおっしゃる。

そういえば、あのインドの狼少女、アマラとカマラだって、生まれたときから狼に育てられたので、二本足で歩けないし、昼より夜のほうが目が見えたし、人間の言葉などまるでわからなかったわけです。

いやなにも遠いインドの話だけではないわけで、ほら、あなたがしゃべっているその言葉、富山弁でしょ。「ちゃあ、ちゃあ」っていうでしょ。それだって自分で考えだした方言じゃないでしょ。まわりが「そいがやっちゃ、そうやっちゃあ」といっていたからそうなったわけ。笑い顔だって、くしゃみの仕方だって、ハナのすすり方だって、ちゃんと育てる側に似てくるんですよね。

まあ、そう考えてみると、二本の足で歩けるのも、日本の言葉がしゃべれるのも、なにもかも、お育てあればこそ・・・と喜ばねばならんわけですが、これがなかなか喜べない。そんなこと当たり前としか思っていない。恩知らずの畜生ですなあ。

しかし、まあ、いまいった逆転めがねねえ。私らはもうちゃんと左右上下きちんとまともに見えていると思っているけど、仏さまがごらんになると、これがまた、逆さまだとおっしゃってる。おのれの欲望だけを考えて、他人のことは考えない逆さま。おのれの人生を見つめずして、今日一日のことに明け暮れる逆さま。おかげさまよりおカネさまという逆さま。足ることを知らず、もうちょっともうちょっととむさぼる逆さま・・・。いっぺん仏さまのめがねをかけて自分を見直さんといけませんなあ。


昭和52~53年にかけてサンケイ新聞婦人面に掲載された「お茶の間説法」の文章です。

「お茶の間説法」(37話分)
>> https://www.zengyou.net/?p=5702

>>「お茶の間説法」 プレイリスト
>>「続・お茶の間説法」 プレイリスト

精一杯生きるのを認め合って

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「それはそうと、若ハンも出てきたねー」
またこれだ。近頃、よくいわれるんです。
「動かんと、食べてばっかりいるからでしょ」とか、ああしたらいい、こうしたらいいと、おなかをへこます方法を、いろいろ教えて下さる。くやしいねー。さっきから、お話をしている間中、フムフムとうなずいて聞いて下さっている様子だったけど、目だけは、私のおなかのあたりにチラチラと飛んで、結局、人生の意味をいかに発見してゆくか、などという話の方はどこへやら、ずうっと、この人、いかにすれば減量なるか、ということを考えていらっしゃったみたい。
「そんなこといっても、若ハンの身体のこと思うていってるんだから、文句いわずに聞かっしゃいよ」
ハイハイ、というわけで、話の中休みは、もっぱら、運動不足と、健康管理についてのご高説をうかがうことになってしまう。で、結局、おばちゃん、おばあちゃんたちの結論は、「欲しがりません勝つまでは」という時代から「欲しがりましょう、あくまでも」という時代になってしまったことへの反省が足りないんだよ、近頃の若いもんは・・・といおうことになってしまう。

そういえば、昨年までは、家庭内暴力や校内暴力の時代を反映して、小1の教科書も「なかよしの木」だったけど、今年から変わっているんですよね。うちの学校でみせてもらったら、なんと「はしれ はしれ」になってる。
砂場でみんなが遊んでいる絵があって、
はしれ はしれ はやい はやい
となってる。いやあ、やっぱり時代ですなあ。日本全国運動不足、欲しがりましょう、あくまでも、で、私のおなかのようにボディじゃなくて、ボテーとしてきた。で、トリムだ、エアロだ、ジョギングだ、アスレチックだ、ノンカロリーだ、とにかくおやかましい時代になった。そこで、出るべくして出たのが、この教科書。健康はみんなの願い、というわけなんでしょうね。
「そう、走れ、走れ。若ハンもなわとびのひとつぐらいやらんにゃ!」
と、こっちまでハッパをかけられちゃった。でも、この、はやい、はやいは、どうなんでしょうね。遅いものもいる。健康、健康というけれども、不健康な人もいる。その不健康な人にも人生はある。健康は財産だ、健康第一だ、というけれども、その声を聞くだけで胸が痛む人たちがたくさんいる・・・。そのこと私たち忘れているんじゃないかしら。

いつだったか、国際児童年の年、ゴダイゴの歌がはやって、その歌にのせて、NHKが子供へ一言いう、CM風のものを流してましたけど、その中で、
「ケンカをして、勝ったキミは強い子だ。けど、負けた友だちのことを、少し考えてみる・・・それができたら、キミは強い子ではなくて、いい子になれる」
と、いう意味のがあった。走っても、走れなくても、早くても、遅くても、お花をかざっても、かざらなくても、きれいなことばを使っても、使わなくても、なかよしになれても、なれなくても、おなかが出ていても、出てなくっても、みんな精一杯、そう、精一杯生きているんだってこと、認め合わなくっちゃね。


昭和52~53年にかけてサンケイ新聞婦人面に掲載された「お茶の間説法」の文章です。

「お茶の間説法」(37話分)
>> https://www.zengyou.net/?p=5702

>>「お茶の間説法」 プレイリスト
>>「続・お茶の間説法」 プレイリスト

「夢の風船」ふくらませたい

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学校というのは、英語でスクールと申しまして・・・
「コレ、若ハン、それくらいのこと、わたしらでも知ってますよ」
と、明治生まれのかしこいおばあちゃん。ゴメン、知らんかと思うとった。いや、話はこれからなんで、そのスクールという英語の語源は、いったいどういうものかと調べたら、これがなんと!ラテン語で、スコーラというそうな。
「なんじゃ、そりゃ」
なんじゃて、わたしもわからんから字引でみたら、「余暇」と書いてある。もとの意味からいうとM、スクールはレジャーじゃということになる。
「軟弱軟弱!それじゃから、近頃の若いもんは遊び半分で学校行っとる。わたしらのころと大違い!教科書だって、字より絵のほうが多いし、どうも肌に合いませんワ」
と、おばあちゃん、気に食わない。
しかし、おもしろいね。学校ちゅうところは昔はヒマなときしか行けなんだ。そこで余暇に通う所ということで、スコーラというた。いやホントに、スコーラよもう一度、といいたいですなあ。

さて、しつこく、小学校1年の教科書を読みあさっておりますが、きょうご紹介するのは、わたしが一番好きな教科書でありましてじつは、ムスコの一年の時のものなんです。

題は「なかよしの き」というの。開いてみたら・・・大きな木の絵が描いてある。ウサギや、ハトや、リスがいて、こどもたちも木にのぼって遊んでます。風船をふくらませて、枝に結んでいるみたいですな。
「あれ、あぶないことを・・・」
おばあちゃん、本日はかなり批判的。
さあ、次のページをみくってみると・・・
「ありゃ、まだ、字が出てこん」
字より絵をみてちょうだい。ほら、おばあちゃん、どうなってる?
「こりゃさっきの木が、飛び上がっとりますぜ、風船で浮いたんやろか。まさか、こんなこと、あるわけないでしょうが」
で、やっと6、7ページになりますと、なかよしの木は、大空に舞い上がり、字が出ました。
たかい たかい みえる みえる
あおい そら くもの うえ
次のページになると、さらになかよしの木は空高く宇宙に向かって、
わたれ わたれ そらのはし
おほしさま きらきら
おつきさま にこにこ
で、最後は、またもとの場所にもどってきて、なんと、さっきまでの風船がパッとまっ白な花にかわって、
さいた さいた きれいな はな
これ読んでたら、わたし、涙出てくるの。おばあちゃん、わかる?
この風船はねえ、わたしら一人一人の夢の風船なの。それをふくらませていたら、夢は宇宙をかけめぐるわけよ。みんな、なかよくして、他人の風船をこわさんように気をつけたら、世の中もうちょっと明るくなるんじゃないかなあ、という願いがこもってるみたい。他人の夢の風船をチクリとやって喜んでいるわたしたち、もういっぺん、この教科書、読みなおさんといかんなあ。


昭和52~53年にかけてサンケイ新聞婦人面に掲載された「お茶の間説法」の文章です。

「お茶の間説法」(37話分)
>> https://www.zengyou.net/?p=5702

>>「お茶の間説法」 プレイリスト
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すばらしい一年の教科書

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「いや、本当になつかしいですなあ」
と、小学校の校長先生。入学式に顔を出して、一年の教科書の話をしていたら、
「ぼくは昭和6年入学。サイタ サイタ でしたけどね。何が自慢かといって、教科書が色刷りになったのは、あれがはじめてだった。パァーッとピンクのサクラの絵。うれしかったね。みんなに、どうだって、みせびらかしたのを覚えていますよ」
ついでに、図書室へ入れてもらって、最近の教科書をみせてもらったら、3年ごとに業者が内容を変えて出している。

昭和49年のには、お日さまと、ヒヨコと、小イヌがいて、絵本みたいな感じで、
あかるいな ふたつに わけるよ
と、小イヌが小屋をノコギリで切って、ヒヨコに小屋の半分をあげる。そこへ雨がふってきて、
たいへん たいへん
と、またその小屋を一つに合わせて、一緒にはいる。このころ、ひょっとしたら、住宅難か、あるいは核家族の問題があったんじゃないのかなあ。

52年のは―
あおい あおい うみ
ひろい ひろい そら
とか、
きこえる きこえる
とりの こえ
とか、やたらと、自然の美しさを絵でみせる。これも、やっぱり、自然保護を反映しているんでござんしょうねえ。
そう、そういえば、いつだったか、大阪の小学校で「先生、教科書はウソいってる」と訴えた子供がいたそうだ。
かわには めだかが およいでる
とあるけど、そんな川はどこにもないやんか、ということでありました。
まあ、そんなことの反省もふくめて、小学校1年のこのころの教科書は、豊かな自然、美しい自然を見直しているのでありましょう。いいことだと思います。絵をみても、動物も植物も人間も、みんないっしょになって、笑っている。すばらしいと思う。私のころの、
おはなを かざる
みんな いいこ
と、だいぶ違うと思う。だって、そうでしょ。かざる、というのは、どこへかざるか、という問題がある。あのころは、家庭に和らいだものがなかったから、みんなでお花をかざりましょう、とすすめられたんでしょう。でもね、これは、自然保護からいうと、おかしいのよね、花をかざるというのは、どこからか、とってきてかざる。買ってきてかざるということですもんな。これは自然破壊につながるし、自然をゆがめることになる。売れるもんなら…というわけで、チューリップの球根を冷蔵庫へつっこんで「冬やゾー」とだまして、早く咲かせたり、「年中、昼だー」と電気をつけっぱなしで、キクやらなにやらを店頭に出す。どうも、こういうことを考え出したのは、私たちのあの年代に育った連中じゃないかしら、と思ったりして・・・。図書室を出ようとしたら、若い先生、とてもハキハキしていらっしゃる。先生、あなたの小1の教科書は?「ハイッ。”ひろこさん はい。ただしさん はい” でした」。


昭和52~53年にかけてサンケイ新聞婦人面に掲載された「お茶の間説法」の文章です。

「お茶の間説法」(37話分)
>> https://www.zengyou.net/?p=5702

>>「お茶の間説法」 プレイリスト
>>「続・お茶の間説法」 プレイリスト