親鸞聖人像を追いかけていたら、像が生まれて、カフェになりました。

2022 親鸞聖人像マップ

2022年11月より、全国に設置された屋外の親鸞聖人像を記録・共有する「親鸞聖人像マップ」の制作を始めました。Googleマップ上での情報収集を中心に、各地の像の姿や背景を調べるなかで、浄土真宗が地域に根づくさまざまなかたちと出会うこととなりました。

中でも、山口県荘厳寺では、彫刻家でもある前住職が自ら親鸞聖人像を手掛けておられ、その経緯や背景を直接うかがうことができました。その際、1体の像を善巧寺へ寄贈してくださるというありがたいお申し出をいただき、マップ制作にも積極的に関わってくれていた息子とふたりで、山口県まで車で往復1790㎞を走ったことが心に残っています。

2023 各種メディアに掲載

この取り組みは、2023年9月には登録像数2,000体を超え、2024年9月には3,000体に達しました。その過程で、「北日本新聞」をはじめ、フリーペーパー『浄土真宗 唯』、仏教誌『茉莉花』、『築地本願寺新報』、『月刊住職』、『中外日報』などに紹介されました。

2024 フォトコンテスト

その後も、親鸞聖人像をめぐる新たな取り組みが続いています。2024年9月には卓上カレンダーを制作。さらに、同年11月から2025年1月にかけて開催したフォトコンテストでは、高岡銅器の企業や仏具店のご協賛をいただき、豪華な審査員方を迎え、初の試みながら579点もの写真が全国から寄せられました。それぞれの像を見つめる新鮮なまなざしに多くの気づきをもらう機会となりました。

2024 展覧会「愚禿」

2023年と2024年は、親鸞聖人のご生誕850年、そして浄土真宗の開宗800年という節目の年――メモリアルイヤーでもありました。

そのような時期にあたる2024年春、善巧寺で開催した展覧会「オテラ・ザ・エキシビジョン」(4月27日〜5月12日)では、美術作家・清河北斗氏による新たな親鸞聖人像「愚禿(ぐとく)」が誕生しました。この像は親鸞聖人像マップとは別の企画として生まれたものですが、全国の像を調べていた住職と、同時期に親鸞聖人への関心を深めていた清河北斗氏とのご縁が重なり、制作へとつながりました。会期中には1,200名を超える来場者が訪れ、多くの関心が寄せられました。

2025 NHK教育「こころの時代」に愚禿像の映像が採用

NHK教育「こころの時代~宗教・人生~」の山折哲雄さんを特集する番組において、愚禿像の映像を使用したいという連絡もサプライズな出来事でした。取材はワンシーンのために東京よりプロデューサーを含む3名がお越しになり、お蔵での撮影が行われました。番組では、親鸞聖人の愚禿述懐和讃の朗読と重ねて放送されるとても印象的なシーンに使用していただき、ありがたいご縁でした。

2025 愚禿像の販売

愚禿像の原型は油粘土で制作されているため、長期の展示には適しておらず、FRP(樹脂)による複製像の制作に至りました。完成した複製は、原型と遜色のない仕上がりとなったことから、希望される寺院等に向けての限定販売を行っています(2025年4月1日より販売開始)。

2025 カフェ愚禿

さらに同年4月3日には、この像をシンボルとして据えた寺カフェ「愚禿 – gutoku –」をオープンしました。日常の中で、そっと親鸞聖人のまなざしに出会える場所となっています。

今後はここを起点に、新たなご縁が育まれていくことを楽しみにしています。