バラバラで一緒

子育て中のお寺仲間の間では、毎年12月になるとクリスマス話題で盛り上がります。私が子供の頃は「お寺にクリスマスは必要なし」が当たり前でしたが、最近は世の中の盛り上げ方が激化して、保育園でも1ヵ月前からクリスマスソングの練習が始まり、飾付けをみんなでして、盛大にパーティを行います。そんな中でうちの子は必要なしとはさすがに言えませんが、次に子供にとっては「なんでうちではやらないの?」が大きな問題となります。

「うちはアミダさまがいつも見守ってくれているからサンタさんは来ないんだよ」と言っても、すでにクリスマスの物語に没頭しているので、なかなか受け入れられません。ここでお寺の葛藤が始まります。イベントと割り切る人もいますし、無理やり置き換えて「お坊サンタ」に変身する人もいるぐらいです。こちらからすると、イスラム教徒に豚肉を出して、「みんなが食べてるのになんであなたは食べないの?」と聞くようなものなのですが、日本では、どんなに多様化の時代と言われても、「みんな同じ」という感覚が根付いているので、少数派は黙っています。

以前、東本願寺に「バラバラで一緒」というスローガンがありました。「一緒」と思っていた人に「違い」があると、裏切られたような気持ちになりますが、あらかじめ人はそれぞれに違うということが前提にあると、違うことが当たり前で、少しの共通点に喜ぶことが出来ます。世代間のギャップも同じことではないでしょうか。そのことを今一度見つめていきたいです。

(寺報158号)