他力

本堂に座り、手を合わす。

本当のわたしは、自分が楽をすることしか考えていない。
本当のわたしは、自分の欲求を満たすためにしか行動出来ない。
本当のわたしは、自分さえよければいいと思っている。
本当のわたしは、そういう自分に気づけず毎日を過ごしている。

やっとのことで、自分に少しの余裕が出来て、人のしあわせを願う時でも、
それは往々にして自分の価値観を押し付けている。
それは往々にして自分の手柄としている。

やはり、ほんとうのわたしは自分のことしか考えていない。

そう、本当のわたしは、仏さまの前に座るというこころを持たない。
本当のわたしは、仏さまに手を合わすというこころを持たない。

そのわたしが、本堂に座り、手を合わす。

他力とは仏の力をいう。