ひたすら守る安全

昭和52~53年にかけてサンケイ新聞婦人面に掲載された「お茶の間説法」の文章です。


女人に5力-5番目に女性が力を入れるものはなにかと申しますと、それは「安全」だといわれています。家庭と子供と生活という3つの大事なものをかかえている女性が、そのどれに対してもまず、願うのは安全でありましょう。家庭の安全、子供の安全、生活の安全・・・。

いつだったか、女性の登山家のインタビューをラジオで聞いたことがあるんですが、聞き手が、コースやら、抱負やらいろいろ質問して、最後に「それでは事故のないように、気をつけて」というと「ええ、大丈夫です。女性は安全第一で、危険なことはやりません。もう少しで頂上とわかっていても、危ないなと思ったらやめますから」と、あっさり答えていらっしゃったけど、これなんですよね、女の人は。安全を確認してからでないと、コトを起こさない。その点、男性は名利がからんでいるから、ついつい、「花も嵐もふみ越えて、ゆくが男の生きる道ィ」なんて突っ走っちゃう。で、いろんな事故の発生件数をながめてみると、男と女には格段の差がある。これはどうやら、男と女の求めるものの違い、力の入れどころの違いというものが関係しているんじゃないかと、つくづく思うわけであります。

ですから、話をもとにもどして、家庭の安全、ということを考えてみても、男が「ぶっそうだからカギをかけろ」というのと、女が戸締まりをするのとは、どこか違うものでありまして、男の意識の底には(カギをかけないでドロボウにでも入られたら、オレの財産を盗まれる。それに、家族の者を危険にさらすことにもなって、主人としての名誉にかかわる)なんて、またまた名利が顔を出す。

そこへゆくと、女性の方は、あっさりとしたもので、戸締まりは単に用心のため。お金でもとられたら、明日から食べてゆけないじゃないの-という安全感覚からきているようであります。

子供の安全-これはもう、お母さんなら命がけでありまして、自分の身をけずってでも子供を守る。夏休みの間などは、朝から晩まで「危ないわよ」「気をつけて」「いけません」「おやめなさい」の連呼であります。教育ママといわれるお母さん方も結局、こどもが大きくなってから安心して生きてゆけるようにということを願って、塾だ、試験だ、勉強だと叫んでいらっしゃるんでしょ。そしてお父さんはといえば、子供を育てるのも名利でありまして、エライ子、立派な子になればいい。それがだめなら、ワンパクでもいい、たくましい子に育ってほしい…なんて、カッコばかり付けちゃってるんじゃないかしら。

さて、最後は生活の安全。これはもう、着る物、食べ物、住むところ、とすべてが主婦の心配のタネでありまして、家族のものが安心して暮らせるようにと、日夜心血を注いでがんばって下さってるわけであります。もしも、主婦にこの安全を願う心がなかったら、それこそ家庭は一夜にしてといってはオーバーかもしれないが、とにかく、ダメになってしまうだろうと思うんですが、いかがでしょう。

さて、女人に5力-美しさと家庭と子供と生活と、それらを守り抜く安全確保の力と、女性とは、かくも素晴らしい5つの力を持っておいでなのであります。それは力であsると同時に宝であります。どうか、この5つの宝物を、おなくしにならないよう、くれぐれもお気をつけて下さいますように-。


「お茶の間説法」(37話分)
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