小学校の卒業式で祝辞を述べました。これから人間関係を築いていくこどもたちに伝えたいことを考え、小児科医の熊谷晋一郎さんの言葉を紹介しました。一部紹介させてもらいます。
自立して生きるというのは、誰にも頼らず、ただひとりで生きていくことのように思われがちですが、本当はそうではなくて、たくさんの依存先をもつことだと熊谷さんは言います。
私たちは、あまりにもたくさんのものに依存しているから、何にも依存していないと錯覚してしまいますが、じつは、あらゆるものに支えられて生きています。熊谷さんが親なしで生活できるように独り暮らしをはじめたのも、親からの自立ではなくて、親以外にも依存先を増やしていくことだったのです。
みなさんはこれからもいろんな経験をしていきます。まわりが見えなくなるぐらい何かに熱中したり、誰かを大好きになったり、それはとてもステキなことですが、依存先がひとつに偏ると、とても危ない時があるので気を付けて下さい。苦しくなった時は、誰かに助けを求めてください。苦しいということを、誰かに伝えてください。人に頼れるようになってください。ここに仲間がいます。ここにいる大人も、みんなの応援団です。きっとわかってくれる人がいます。そして、自分に少しの余裕がある時は、困っている人に手を差し伸べられる心をもちましょう。そんな人を私は尊敬します。
「自立とは、依存先を増やすこと。希望とは、絶望を分かち合うこと」
雪山俊隆(寺報177号)