お取り越し

ほんこさまが始まりました。ほんこさまは正確には報恩講といい、親鸞聖人のご法事です。善巧寺では、10月19~20日に報恩講がつとまります。親鸞聖人の祥月命日は1月16日ですから、それより前もって行う法要で「お取り越し」とも言います。祥月命日につとめる法要は「御正忌」です。

さらに、報恩講はお寺だけに留まらず、ご門徒さんのお宅へ一軒一軒お参りする在家報恩講が行われます。お寺で二回、自宅の仏壇で一回の計三回の報恩講。浄土真宗の開祖、親鸞聖人がどれほど大切にされているかがおわかりいただけるでしょう。

以前こんな質問を受けました。
「十月の報恩講と一月の御正忌はどっちが大切なの?」
これに対して、我々の法事の勤め方はどうでしょうか。ご法事は、故人の祥月命日よりも先に行う場合が多いですね。「先に勤めるべき」という考え方は、少し迷信じみた響きを感じてしまうのですが、見方を変えると、法事を大切にする心のあらわれとも受け取れます。(命日後に法事を勤めても全く差し支えはありません)
故人の祥月命日はどのようにされているでしょうか。家族や親しい人たちでお仏壇に手を合わせる方も多いことでしょう。先立って勤まる「報恩講」と、祥月命日に勤まる「御正忌」。どうぞ、ご身内のご法事のごとくに勤めてくださるようお願い申し上げます。10月19日、20日、どうぞどうぞお参りください。心よりお待ちしております。

雪山俊隆(寺報141号)