ほんこさま

10月は報恩講、通称「ほんこさま」の時節です。浄土真宗の開祖、親鸞聖人のご法事をつとめる大切なご縁です。お寺の報恩講ではお仲間の寺院が参り合う風習が残っており、若栗の真照寺、発願寺、荻生の称名寺、生地の順昌寺、そして浦山善巧寺、法輪寺、照行寺の計七ヶ寺でおつとめします。ご門徒一軒一軒でつとまる「ほんこさま」は、9月の音沢地区から始まり、翌年3月の浦山地区まで続きます。多くの寺院では10~12月の間に集中してほんこさまをつとめていますが、善巧寺の場合は、急な葬儀や法事にも午後から対応出来るように、ほんこさまは午前中で終わるようにしています。そのため、日数は長くなっているのです。

年に一度の尊いご縁ですので、赤いろうそくを推奨しています。また、首にかける式章もぜひご着用ください。お仏壇やお寺にお参りするということは、阿弥陀如来が「いつでもどこでも今ここにまします」ということを受け取る時間です。いつでもどこでも働いてくださる仏さまですが、残念ながら日々の生活におわれる私たちはそれを忘れて過ごしています。
「私はしばしば仏を忘れるが、仏は私を忘れない。」
先立たれた人たちが仏さまとなり、合うはずのなかった私の手を合わさせてくれる力となって、今ここに働いていると受け取りましょう。ひとりだけどひとりじゃない世界があります。その心を聞かせていただくのがご法話です。報恩講へぜひお参り下さい。

雪山俊隆(寺報169号)