五悪

今回は「悪」をテーマにお話ししてみようと思います。
仏教では、5悪と言って、特に1番してはならない悪を五つ上げいます。

1、生き物を殺してはならない
2、ものを盗んではならない
3、よこしまなことをしてはならない
4、嘘をついてはならない
5、酒を飲んではならない

悪を規定していくというのは、どの宗教でもあることですが、これらは守ったから救われる、守らないから救われないというよりも、信仰を守る中で、教団を乱さないという意味と、自分をコントロールしていく意味がありますね。ということは、逆に見ると、コントロールしていかないと何をしでかすかわからないのが人間ってことになります。

宗教はそれを仏や神の物差しで計りますが、国単位では、代表者が決める法律というのがありますね。国だけじゃなくて、県でも、町でも、会社でも、学校でも、家族でも、なにかしらのルールがあります。複数の人間が集まると必ずルールが生まれます。これらは、そこで生きていく上で守るべきことです。ただ、それは時代や場所によって変化します。お酒ひとつとっても、サウジアラビアでは禁止されているそうです。また、タバコの年齢制限をもっていない国もあります。吸い放題です。

一つ目の、生き物を殺してはならないというのは、人に限ったことではありません。それじゃあ生きていけないじゃないか、ってことなんですけど、それだけ罪を作りながら生きている自覚を持つということでしょうか。意識せずに悪いことをしているのと、悪いと感じながら、そうせずには生きられないというのでは、だいぶものの見方が違いますね。そこには申し訳なさとか、感謝の気持ちが生まれるのかもしれません。

五つの悪の中には、ものを盗んではならない、というのがあります。ぼくは小学生の頃盗みクセがあったらしくて、親がとても困ったそうです。何度叱っても人のものを取ろうとするので、困り果てた親は、親戚のおじさんに相談しました。このおじさんは若い頃散々悪いことしてるんです。だからこの人なら治す方法がわかるかもと思って聞いたんでしょうね。その時おじさんはこう言ったそうです。
「人のものを盗むんは、自分に自信がない証拠や。自分に自信がつくまで直らんわ」

自信がないから物を盗む。自分にはなにもないから物を盗む。そんなとこでしょうか。さて、今回は悪ということについて、少しだけお話してみましたが、皆さんは、自分にとって絶対にしてはならないこと、どのぐらいありますか?

ラジオ番組「ゆるりな時間」より