西岡常一さん

最近、心に残った言葉をいくつか紹介します。
法隆寺、薬師寺の宮大工棟梁であった西岡常一さんの言葉です。西岡さんは、平成7年にお亡くなりになりました。

今の大工は耐用年数のことなんか考えておりませんで。今さえよければいいんや。とにかく検査さえ通れば、あすはコケてもええと思っている。わたしら千年先を考えてます。資本主義というやつが悪いんですな。それと使う側も悪い。目先のことしか考えない。

厳しいお言葉ですが、説得力があります。千年先というのが凄いですね。ひとつの道を極めた人の言葉というのは、どの世界にも通じていくようなことを言われます。今のに関連して、続けてもうひとつ。

科学が発達したゆうけど、わしらの道具らは逆に悪うなってます。質より量という経済優先の考え方がいけませんな。手でものを作りあげていく仕事の者にとっては、量じゃありません。いいもん作らなあ、腕の悪い大工で終わりです。飛鳥の時代から一向に世の中進歩してませんな。

えー、おっしゃるとおりですね。
最後にもうひとつ。

わたしらは堂や塔を建てるのが仕事です。仕事とは「仕える事」と書くんです。塔を建てることに仕えたてまつるいうことです。もうけとは違います。そやから心に欲があってはならんのです。

仕事ってなんだろう?ということを耳にすることがありますが、それは文字通り、仕える事。忘れかけていたことをズバリと言い当てられたように思いました。

ラジオ番組「ゆるりな時間」