フリースタイル

お寺座ライブが老若男女とってもフリーな雰囲気になったのがとても気持ちよかった。音楽を楽しんだり、縁側に行ったり、お茶を飲んだり、タバコ吸いに行ったり、トイレに行ったり、雑談したり(人に迷惑かけるのはまずいけど)。なにを説明したわけじゃないのに、みなさんうまい具合にお寺を使ってくださった。今回は3時間。コンサートとしては長いし、夜通し遊ぶフェスやクラブから見ると凄く短い。遊び慣れている人が結構いたということもあるかもしれないが、初回からお寺という空間がこれほど理想的に使われるとは本当に驚いた。

で、ふと思った。
お寺では月に二度の定例行事「お講」というのがあって、そこに来るおばあちゃんたちは、はやい人で1,2時間前からやってくる。それをはじめの頃は「あぁ、家ですることないんやろなぁ」ぐらいにしか思っていなかった。本堂に来たおばあちゃんは、仏さまにごあいさつしたあと、思い思いに時間を過ごす。誰かとおしゃべりしている人。横になって寝ている人。トイレを行ったり来たりしている人。境内でボーっとしている人。お参りがはじまってからも、トイレに行きたくなれば勝手に行ってるし、お話最中でも疲れたら勝手に帰っていく。逆にすべてが終わってからも、これまた1,2時間雑談していたりする。こどもの頃の記憶では、おばあちゃんたちが寺の竹やぶで服をまくりあげておしっこをしていた光景もあった。

そう、めちゃくちゃフリースタイルなのです。時間の感覚がまるで違う。現代人は待つということがとっても苦手でみんなとっても忙しい。というか、忙しくしている。また、無意識に自分の中でガチガチにルールを作ってしまう。もしくはルールを求める。そうしないと動けない。一方、おばあちゃんたちは、待つという感覚すらないのかもしれない。ルールもあってないようなもの。これはすごい。待つというのは今ふつうに考えると無駄な時間とされてしまうが、そんな時間は存在しないわけだ。このフリースタイルこそ、今後お寺で提供していきたいもののひとつだ。時間を埋めるのではなく、時間を感じる。80代の方たちは、とっても遊び上手だということを改めて知る。