お寺は誰かの所有物ではなく、みんなのお寺であり、あなたのお寺、私のお寺です。例えば、私が宝くじに当たって、ひとりで七百五十回大遠忌の事業費をまかなうと言ったら、それはお寺にとって大きなマイナスだと思います。みんなが痛みを伴いながらも、御懇志を出し合い、その結晶としてお寺が護られていくことにこそ、意味があるのではないでしょうか。そして、その行いを、どうぞ子や孫にお伝えください。核家族化が当たり前になりつつある世の中で、若い方はお寺との関わり方を全く知らない方が大勢います。年会費(かかり銭)でお寺が支えられていることも聞かなければわかりません。「若いもんに言ってもどうせダメやっちゃ」と諦めないでください。自分の親が身を削って支えている事実を知って、何も感じない子はいません。すぐにはわからなくても、いずれ何かが伝わるはずです。「金がかかるならお寺との縁を切るわ」と短絡的に考える人もいるかもしれませんが、何も知らずに切れていく縁よりはずっとよいと考えます。
本堂の中心は阿弥陀さま。阿弥陀さまのお心がお経。お経の心を噛み砕いて伝えるのが僧侶の使命。自分の役割を全う出来ていない無力さをいつも情けなく感じていますが、これからもお寺へ来ていただきやすい環境作りに努めますので、どうぞ、”あなたのお寺“の法要にご参加ください。
雪山俊隆(寺報130号)