あなたのお寺

自分が生まれた年(昭和48年)の報恩講芳名帳を見てみると、382名の名前が記されていました。現在のおよそ4~5倍の人数です。そこに記されている方々は、おそらく子供の頃に親に連れられて来た人や、嫁いでから姑に促されてお寺へ来ていた人たちが多いと思います。昔は村の拘束力が強く、お寺参りもそのひとつだったと思われますが、数10年通い続けるうちに「私のお寺」という気持ちを育んでおられたことでしょう。

参拝者のピークはさらにさかのぼり、本堂がひと回り大きなサイズで再建された明治初期頃と予想されます。本堂を現在の大きさにしたのは、それだけの人数を見込んでいたはずです。そういう意味では、参拝者の減少は今に始まったことではなく、百年単位で言われ続けてきたのかもしれません。

住職を継職して20年ほど経ちますが、その間、参拝者の減少はずっと言われ続けてきました。その言葉は「住職がんばれ!」のエールだと受け取っていますが、ひとりではとても抱えきれる重さではないので、どうぞ手をお貸しください。他人のお寺ではなく、あなたのお寺です。

お講をリニューアルしたのは参拝者が2~3人なったことが一つの要因でした。ほぼゼロからのスタートになったので、人が少なければこちらの誘いと魅力が足りないことに尽きます。おかげさまでとても清々しい気持ちでやりがいを感じています。どうやったら振り向いてもらえるのか。今後も試行錯誤を続けていきます。

雪山俊隆