おはずかしい

10数年前、お寺参りをされていたおばあちゃんたちがよく口にしていた「おはずかしい」「もったいない」という言葉を改めて思い返しています。

「はずかしい」という心は、正しいものに出会った時に起こる心で、自分を信じ自分を正しいと思っていては、その心は起きません。また、ただ「はずかしい」というのではなく、「お」が付いていることが味わい深いです。それは、自分で起こした心ではなく、仏さまの正しい姿に出会ったからこそ起きた心で、丁寧語が付けられています。なにげない言葉として受け取っていましたが、他力的な思想が込められた尊い言葉でした。涅槃経にも「はずかしいという心がない者は人とはいわず、畜生という」とあります。

仏さまに照らされて、我が身を知らされた時、親鸞聖人は「とても地獄は一定すみかぞかし」と、私は地獄の他に行き場がないとおっしゃっています。そのような私こそを救いの目当てとされた阿弥陀如来の光りに出会った時、こぼれ出るように口にされたのが「もったいない」という言葉でしょう。

ただ、この言葉には注意が必要で、自虐的にひたすら自分を卑下していると、身が持たなくなります。「救い」と懺悔」はふたつでひとつです。自分自身で反省を繰り返していると堕ちるばかりで抜け道はありませんが、そんな私こそ、仏さまはいつもおそばにましますと、救いの目当てとされていることを胸に留めて、仏さまの名「南無阿弥陀仏」:を申しましょう。

(寺報157号)

思春期・若者を知るための公開シンポジウム

本願寺で開催された「思春期・若者を知るための公開シンポジウム」に参加してきました。この企画は、昨年本願寺に新設された「子ども・若者ご縁づくり推進室」が取り組む活動のひとつです。たまたまのご縁で委員会のメンバーにお誘いを受け、組織の難しさを肌で感じながらも、遠慮なく意見を言わせてもらっています。

「大人は子どもや若者に対して何が出来るのか?」という以前に、ほっておくとすぐに偉くなってしまう自分自身の在り方が問われる内容でした。それを端的にあらわしている文章を紹介させてもらいます。

私たちはそれぞれ周りの人と違った性格や性質を持っています。しかし、知らず知らずのうちに、『大多数』『標準』だと思える方に自分を合わせ、所属させて、自分は『普通なんだ』と自らの居場所を作っているようです。そのようにして、周りと違うこと、周りに無理に合わせることに悩み、痛みを誰にも認められず生きづらさを感じている若者がたくさんいます。思春期の悩み、苦しみの一因が、『普通はこうである』という多数派の決めつけにあるなら、浄土真宗のみ教えに生きる私たちが、全ての人の幸せを願う本来のあり方とは裏腹に、苦しめる側に立っていたのではないかという反省が、この浄土真宗本願寺派としての取り組みの背景のひとつです。

旧体制の組織としてはとても切り込んだ内容になっているので、継続には様々な困難が予想されますが、期待せずにはおれません。善巧寺へ還元出来るように力を尽くします。

雪山俊隆(寺報156号)

「掛け替えのないいのち」とは、代用がきかないということです。社会のあらゆる場面において、ほとんどは代用がきくのかもしれません。総理大臣と言えど、会社の社長と言えど、代わりは次に控えています。もちろん、その人にしか出来ないことはありますが、やはり会社や組織の中では、代わりのきくいのちを生きています。でも、我が子や愛する者のいのちは変わりがききません。阿弥陀さまの眼差しは、私ひとりを代用のきかない「いのち」として見てくださいます。あなたがあなたにしか生きられないように、私は私にしか生きられないいのちを生きています。

35年を節目に幕を閉じた「雪ん子劇団」も代わりがきかない大きな存在でした。残念ながら、同じことをやろうとしても私にはその力がありません。申し訳ないというのも何か違うと思いながら、申し訳ない想いでいっぱいです。今は先代への想い以上に、大活躍する父の陰で淡々とお寺を支え続けた祖父母に感情移入します。私の立場は、祖父に近い位置にいることを今更ながら知りました。でも、同じことは出来なくても、その意志は受け継いでいるので、それが具体的な形に出来るように、粘り強く勤めていきます。

阿弥陀さまは、私のことを「そのままでいい」と言ってくれます。有り難いです。その暖かさを支えに、「このままではいかん」と踏ん張る力を持って、先に進みたいと思います。少し重くなってしまいました。四月はお釈迦さまの誕生を祝いましょう。

雪山俊隆(寺報155号)

花まつりを祝おう!

花まつりとは、おシャカさまの誕生日をお祝いする日です。善巧寺では重ねて赤ちゃんの誕生をお祝いする「初参式(しょさんしき)」を行っています。

花まつりを一緒に作ってくれる人!
赤ちゃんの初参りに参加してくれる人!
おまつりに参加してくれる人!

門徒さんや地元の方はもちろん、北陸新幹線の開通にともない遠方の方々も観光がてらにいかがでしょうか?善巧寺名物の手作り花まつりにご参加してくれる方を絶賛大募集します。

~花まつりの流れ~
2015年4月18日(土)
8:00

お寺に集合して、チューリップの花畑へ向かいます。チューリップは球根を育てるために、お花をポキッともぎ取るのですが、それを袋に詰めて、お寺へ持ち帰ります。
花つみ参加者の持ち物:長ぐつ、手袋、お弁当
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12:30
お寺へ帰ってお弁当を食べた後、花飾りがスタート!穴の空いたボードに、絵に沿ってお花を一本一本差し込んでいきます。

15:00
小学生はここで解散。お疲れさま!

16:00
中学生から大人まで、境内にお花をばらまいて、飾り付けの仕上げをします。
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4月19日(日)
9:30
赤ちゃんの初参りに参加する方々の受付をします。
初参式は、100ヵ月~3才ぐらいの子供を対象としています。参加費3,000円。受式希望者はお寺までご連絡ください。(0765-65-0055)

10:00
初参式スタート。おばさまたちのコーラスに合わせて、受式者が入堂します。
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10:15
赤ちゃんにも優しいメロディのある仏教讃歌を歌ったあとに、受式者ひとりひとりに、お珠数の贈呈をします。記念撮影もパチリ。
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10:30
仏さまのおはなしを聞きます。
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10:40
受式者が全員そろって記念撮影をパチリ。

10:50
手作り縁日のスタート。わたがし、ふうせん、おだんご、甘茶、ポップコーン、コンニャクなどが振舞われます。
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バルーンアートのお姉さんはリクエストに応えて楽しませてくれます。畳の上ならこどもも安心。本堂が大きな託児所のようになります。
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境内では飾り付けられたチューリップの前でパチリパチリ。
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13:00
恒例の片付け前のお花でバンザーイ!わずか2~3時間で撤収する様子はまるで砂の曼荼羅のごとく。だからこそ、その2~3時間の「花まつり」が儚くも尊い時間となります。
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正信偈に学ぶ

次年度より浄土真宗の教えを深む学ぶ場「行信(ぎょうしん)講座」がスタートします。

行信とは、大阪高槻市にある宗門校「行信教校(ぎょうしんきょうこう)」のことをさし、その卒業生を中心とした組織「専精会(せんしょうかい)」が全国にあります。このたび、専精会富山支部が開設され、次年度より年に2回の講座が行われることになりました。

行信教校と善巧寺はご縁が深く、11世僧鎔(そうよう)の流れを汲む学校であり、21世隆弘の実家「常見寺」の歴代住職が開いた学校でもあります。

「正信偈に学ぶ」
■日時:4月1日午後2時~5時
■会場:白雪山善巧寺
■講師:天岸浄圓師
■会費:2,000円(僧侶5,000円)
■主催:専精会富山支部
※第2回は11月4日を予定しています。

慣習

新年明けましておめでとうございます。
仏教では本来「喪中」という考え方はありません。その発端は、江戸幕府の「服忌令(ぶっきりょう)」を元に、明治7年に政府が制定した「喪に服すべき期間」にあります。昭和22年には廃止されていますが、今もその考え方は根強く残っています。近親者が亡くなった時、悲しさからしばらくはお祝い事に参加する気持ちにはなれませんが、それと「喪中」という考え方が融合して今の慣習になっているようです。

日本では古来より死を忌み嫌い、「ケガレ」とする考え方があります。それに対して、仏教は「ケガレ」という考え方を持ちません。特に浄土真宗においては、「南無阿弥陀仏を称え、仏様に生まれると思いなさい」という教えです。悲しみを抱えながらも、有り難いと言っていける世界を知らせてもらうことは、慣習を超えて、とても尊いことです。その尊い教えを元に、素晴らしい慣習もあります。葬儀やお通夜に「赤飯」を炊き、仏様に生まれた喜びを表現します。地域によっては唐辛子汁がセットになり、涙が出るほど辛いということから、別れの悲しみを表現しているそうです。

様々な慣習や習俗があり、お寺もそれらに入り込んでいるので潔癖ではいられませんが、折に触れて、そもそもの意味を知ることは味わい深いものだと思います。新年を迎えるにあたり、どうぞ手を合わすご縁を大切にお過ごし下ささい。お寺では親鸞聖人の祥月命日に勤まる「御正忌報恩講」が1月15日と16日に行われます。

雪山俊隆(寺報154号)

賀正

新年明けましておめでとうございます。
雪の正月となりました。1日と2日は年頭参りのお待受けをしております。仏前にて心新たに新年をお迎えください。その後の予定は以下のとおりです。
本年もどうぞよろしくお願い致します。

御正忌報恩講
~親鸞聖人の祥月命日~
1月15日午前10時、午後1時
1月16日午前10時、午後1時
講師:日置宗明師(三重・信明寺住職)

仏婦総会&新年会
2月7日午前10時
講師:西塔公崇師(富山市・金乗坊副住職)

冬支度が始まりました。

夏の行事から秋の報恩講まで報告せぬままに時間が経ち、いつの間にやら冬支度の時期になりました。今年も残り1か月半です。近頃は近況をフェイスブックへ投稿しているので、公式サイトの更新が遅れがちになっています。なるべく主要なことはこちらに書いて寺報とリンクさせていこうと思っているのですが、なかなか両立ができません…。近況はフェイスブックへ記していくのでどうぞご覧ください。こちらのトップページ下部にも表示されています。

◇  ◇  ◇

秋は天井画の観覧者が続いています。
今年は北日本新聞のフリーペーパー「まんまる」の影響が強いようで、並びで掲載されていた隣村の全龍寺さまとセットでお越しになる方が多いです。迎え入れ体制をもう少し整えたいので、町歩きボランティアのように、天井画案内のボランティアもお願いしたくなってきました。それが実現できれば、寺カフェ的なお迎えや、お講や他行事とセットで提供出来るかもしれません。

◇  ◇  ◇

明日15日と16日は年内最後の法要「空華忌(くうげき)」です。
浄土真宗の教えを深められた11代住職僧鎔(そうよう)の遺徳を偲び、仏法に向かい合う時間を大切に過ごしたいと思います。

空華忌
11月15日(土)pm1:00
11月16日(日)am10:00、pm1:00
講師:佐々木覚爾師(行信教校講師)

※本堂には副住職教隆のインド参拝旅行での写真が展示されました。親鸞聖人の祥月命日(1月16日)の御正忌報恩講まで、法要や天井画観覧に来られた方に見ていただきます。

子や孫へ

9月からほんこさまが始まりました。ほんこさまは、正式には「報恩講」と言います。恩に報いる集い(講)ということですから、親鸞聖人のご恩に感謝する日であり、ひろげれば、聖人を大切にされた皆様のご先祖方に感謝する日とも言えるでしょう。ご本山、ならびに善巧寺では、親鸞聖人の祥月命日(1月16日)に「御正忌報恩講」が勤まります。それに先立って行われる報恩講が「お取り越し報恩講」、善巧寺では10月19日と20日です。さらに、ご門徒さんのご自宅でつとめる在家報恩講。先人の方々がいかに親鸞聖人を大事にされていたかということがよくわかります。

「前に生まれる人は後の者を導き、後に生まれる者は前の人をたずねよ」

たびたび法話でも引用される道綽禅師の有名なお言葉です。親鸞聖人はこのお言葉を引用されて、「如来のお慈悲を仰いで信じ敬うべきである」と締められてます。

地方においても核家族が多数になり、「家」の在り方が大きく変化しました。インターネットであらゆる情報が拾える昨今、情報収集能力だけなら、十代で子は親を抜くでしょう。そんな付け焼刃の知識ではなく、生きる知恵を私たちは先人から受け継がれてきました。私たちは、子や孫に何を残せるのでしょうか。二人のこどもに恵まれてから、そのことが頭から離れません。住職になり十五年ほど、振り返れば後悔や恥ずかしいことだらけですが、本当に伝えるべきことを腹に据えて、これからを考えていきたいです。

雪山俊隆(寺報153号)

賑わう善巧寺の春

4月の花まつりから5月末のお寺座ライブまで、怒涛の行事ラッシュが滞りなく無事に終了しました。

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子供を対象にした影絵会。副住職企画です。本堂でおつとめ、お釈迦さまのお話を聞いた後、会館へ移動して、野田依子さん(入善町常福寺)による影絵をみんなで楽しみました。

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詳細はこちら → https://www.zengyou.net/?p=1308

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23日間の観覧期間、地元の皆さんをはじめ、遠くは東北や関東から400名以上の方がご来院くださいました。北日本新聞発行のフリーペーパー「まんまる」の表紙になったことが特に影響が強かったようです。期間中の本堂には、釈迦誕生像に甘茶をかけるセット、写経コーナー、ポストカードや復興念数の物販コーナー、ドリンクコーナー(コーヒー&甘茶)を常設しました。

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インドをルーツにもつヨガに、仏様の手のジェスチャー「印相(いんそう)」を取り入れて行いました。インストラクターは小林佳世さん。お寺でのヨガは全国各地で行われていますが、印相を取り入れたものは前例がなく、小林さんと何度もやり取りをしながら試行錯誤の上当日を迎えました。釈迦誕生像の手の姿から始まり、目の前におられる阿弥陀如来の印相「摂取不捨印(せっしゅふしゃいん)」などをヨガのポージングに取り入れて行われました。ヨガと本堂の神聖な雰囲気はとても相性がよく、心身ともにリフレッシュする時間となりました。

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数年前にお寺座ライブへ出演してくださった地元ミュージシャンのスマウグさんとDJカズキさんをお招きして、お寺の会館で音楽と食事を楽しむ会を開きました。午後5時から9時までたっぷりと音楽に浸って楽しみました。

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昨年、花の会主催で行った精進料理講座を、一般向けに行いました。講師は食を通して仏教の心を伝える料理人、青江覚峰さん。食材は日常では捨ててしまう茎や葉もすべて使ってその心を伝授。味付けも、あえて参加者にしてもらい、その日だけの講座で終わらず日常に活かしてもらうためとのこと。節々に仏教の心を食を通して伝えてもらい、舌にも心にも味わい深い講座となりました。食器は輪島塗りのお膳セットを使用して、会食場は奥座敷(空華殿)へ。特別感を出して楽しんでもらいました。

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日中に引き続き青江さんの食とナビゲートの元、視覚を遮断して他の感覚を研ぎ澄まして食事をする「暗闇ごはん」を楽しみました。20代から70代までがまんべなく揃い、1名もしくは2名で参加される方がほとんどだったため、どんな雰囲気になるのかドキドキでしたが、暗闇を共にすると共感意識が増すのか、驚くほどに盛り上がりました。ここでも、随所に仏教エッセンスが盛り込まれています。参加者からも、食を見直す声が多数上がり、実り多いワークショップとなりました。

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詳細はこちら → https://www.zengyou.net/oteraza/?p=1990

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