空華の里を訪れることは、行信教校で空華学派に入門を許され、先哲諸先生の御教化を賜った者にとって身の引き締まる思いであります。この度私、善巧寺様の「御正忌」法要にご縁をいただきます。何卒よろしくお願い致します。自己紹介は、法要の際おめにかかりましてと思っております。
さて、ここでは、今回のご法義での概要を述べておきます。まず、「正信偈」の「往還回向由他力」のおこころから味わい、このお言葉が浄土真宗の最も大切な、また特徴を持つ意味深いお言葉でありますことをお取つぎ致したく思います。御法座の始まります前に「聴聞の心得」を参拝のみなさんと唱和されますお寺があります。そうそう、善巧寺・明教院僧鎔和上の「僧侶の心得」がありましたが、おうかがいした際にもう一度聞いて・・・。この「聴聞の心得」は、「歎異抄」後序「弥陀の五劫思惟の願をよくよく案ずればひとえに親鸞一人がためなりけり」のおことばの「一人のため」と言われる言葉のこころを、「今日のこの法縁はわたし一人のためなり」とよくよく味わいたいのです。もともと私は仏様の前に座り、仏様の仰せを聞かせていただく者ではないのです。ここに他力真宗の奥義を味わいたく思います。
次に仏様の言葉について、日頃私たちが用います言葉の中にふくまれていますが、乱雑に用いられますから世俗の言葉になっていますので、注意深く味わいたく思います。殊に蓮如上人は、仏法と世法を明確になされ、私たちが何よりもよりどころにするのは仏法であることを明示されましたことをうかがいます。
当日、如何なりますか。御門徒のみなさまにおめにかかることを、楽しみと緊張とをいただきながら伺います。何卒よろしく御指導くださいませ。
(寺報82号)
・空華忌に思う/利井明弘(寺報69号)
・ご意見承りましょう/利井明弘(寺報70号)
・御文章について/梯實圓(寺報71号)
・永代祠堂経―前を訪へ―/高務哲量(寺報72号)
・報恩講をむかえて/利井明弘(寺報73号)
・「いのち」の風光/梯實圓(寺報74号)
・ある救援活動/利井明弘(寺報75号)
・無量光―共にかがやく―/天岸浄圓(寺報76号)
・おそだて/高田慈昭(寺報77号)
・恩に報いる/三嵜霊証(寺報78号)
・拝啓 寺報善巧様/大江一亨(寺報79号)
・雪山隆弘師と明教院僧鎔師/若林眞人(寺報80号)
・俊之さんの思い出/龍嶋祐信(寺報81号)
・往還回向由他力/那須野浄英(寺報82号)
・一人か二人か/梯實圓(寺報83号)
・混迷と苦悩の時代こそ/高務哲量(寺報84号)
・住持/高田慈昭(寺報85号)
・あなたの往生は間違いないか/利井明弘(寺報86号)
・洗面器の底に・・・/森正隆(寺報87号)
・かがやき/山本攝(寺報88号)
・無量寿のいのち/藤沢信照(寺報89号)
・仏法を主(あるじ)とする/梯實圓(寺報90号)
・生死出づべき道/高田慈昭(寺報91号)
・生死の帰依処/騰瑞夢(寺報92号)
・香積寺のことなど/山本攝(寺報93号)
・横超のおしえ/高田慈昭(寺報94号)
・永遠のとき/高務哲量(寺報95号)
・必ず煩悩の氷とけ/藤沢信照(寺報96号)
・報恩講/若林眞人(寺報97号)
・非常の言/高田慈昭(寺報98号)
・不自由ということ 不幸ということ/高務哲量(寺報99号)
・お念仏の世界観/高田慈昭(寺報101号)
・篤く三宝を敬え/天岸浄圓(寺報102号)
・抜けるような青空のもと/山本攝叡(寺報103号)
・善巧方便/騰瑞夢(寺報104号)
・洗面器の底のさくらの絵/森正隆(寺報105号)
・夢のお話/高田慈昭(寺報106号)
・育ちざかり/那須野浄英(寺報107号)
・こわいはなし/宗崎秀一(寺報108号)
・報恩講について/梯實圓(寺報109号)
・お釈迦さまへのプレゼント/霊山勝海(寺報111号)
・前坊守様を偲ぶ/霧野雅麿(112号)
・いずれの行もおよびがたし/藤沢信照(113号)
・生死いずべき道/服部法樹(寺報114号)
・あたたかなひかり/利井唯明(寺報115号)
・季節の中で/山本攝叡(寺報117号)