ロケットにのって地球をながめた宇宙飛行士が、ニューヨークとオーストラリアが同時にみえたといっています。それは地球上に住む私たちには到底みられる光景ではありません。常識をこえた次元というべきでありましょう。
私たちは丸い地球に住みながら、丸い地球を絶対みることができません。しかし、ロケットにのって地球の外へでて、無限の宇宙の世界からみると丸い地球をみることができ、地球の裏表がみられるのです。それは地球上の視点による次元とは異なる宇宙からの視点による常識をこえた次元であるといわねばなりません。
仏陀のみ教えは、このような宇宙的な次元から人生をとらえ、私たちのいのちをみつめているというべきでしょう。
非常の言は、常人の耳に入らず(論註)
ということばがありますが、仏法は常識の次元、すなわち政治、経済、科学技術等の文明をこえた出世間の世界をみているのです。したがって、常識の世界だけに浸っている者には、非常のことば(仏陀の教言)は耳に入りにくいのです。
私たちは、生死といえば此の世に生まれて五十年、百年の生涯をおくって死んでいく存在だけをみていますが、それは地球上だけの視点と同じようです。しかし、もっと広い視野、宇宙的視点からみれば、生まれるまでに無限の過去からの生と死をくりかえしてきたのです。そして人間の生涯を終えてもまた無限の未来に生死をくりかえていくいのちなのです。つまり、過去、現在、未来の三世の生死の流転のなかに存在する今のいのちなのです。救いとはこの生死流転が破られ、浄土への道を今あたえられる身になったことです。
(寺報98号)
・空華忌に思う/利井明弘(寺報69号)
・ご意見承りましょう/利井明弘(寺報70号)
・御文章について/梯實圓(寺報71号)
・永代祠堂経―前を訪へ―/高務哲量(寺報72号)
・報恩講をむかえて/利井明弘(寺報73号)
・「いのち」の風光/梯實圓(寺報74号)
・ある救援活動/利井明弘(寺報75号)
・無量光―共にかがやく―/天岸浄圓(寺報76号)
・おそだて/高田慈昭(寺報77号)
・恩に報いる/三嵜霊証(寺報78号)
・拝啓 寺報善巧様/大江一亨(寺報79号)
・雪山隆弘師と明教院僧鎔師/若林眞人(寺報80号)
・俊之さんの思い出/龍嶋祐信(寺報81号)
・往還回向由他力/那須野浄英(寺報82号)
・一人か二人か/梯實圓(寺報83号)
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・あなたの往生は間違いないか/利井明弘(寺報86号)
・かがやき/山本攝(寺報88号)
・無量寿のいのち/藤沢信照(寺報89号)
・仏法を主(あるじ)とする/梯實圓(寺報90号)
・生死出づべき道/高田慈昭(寺報91号)
・生死の帰依処/騰瑞夢(寺報92号)
・香積寺のことなど/山本攝(寺報93号)
・横超のおしえ/高田慈昭(寺報94号)
・永遠のとき/高務哲量(寺報95号)
・必ず煩悩の氷とけ/藤沢信照(寺報96号)
・報恩講/若林眞人(寺報97号)
・非常の言/高田慈昭(寺報98号)
・不自由ということ 不幸ということ/高務哲量(寺報99号)
・お念仏の世界観/高田慈昭(寺報101号)
・篤く三宝を敬え/天岸浄圓(寺報102号)
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