あたたかなひかり/利井唯明

陽の光が暖かくなってきました。冬の寒さに身を縮こめていたのが嘘のように、身も心も和らいできました。暖かな光に包まれるとき、親鸞聖人のお書きになった御和讃を思い出すのです。

無碍光の利益より
威徳広大の信をえて
かならず煩悩のこほりとけ
すなわち菩提のみずとなる

高僧和讃の曇鸞讃には、阿弥陀様の他力信心を得たならば、必ず煩悩の氷が解けて浄土を願う菩提心となると、親鸞聖人は阿弥陀様のはたらきを讃歎されています。この御文は私の煩悩が消えてなくなると言う事を言っているのではありません。私たちは煩悩一つ除く事が出来ない身であり、この命が終わるまで煩悩を纏いながら生きなければなりません。それはどうしようもない事実なのです。

しかしながら、阿弥陀様の光に出会い、阿弥陀様の救いの目当てが煩悩具足のこの私であったと気付かせて頂くのです。煩悩の火が燃える度に阿弥陀様のおはたらきを感じ、煩悩に振り回される度に暫愧するのです。地獄行きの私の煩悩がそのまま喜びの種となるのです。その阿弥陀様のはたらきが南無阿弥陀仏のお念仏となって私にはたらいているのです。お念仏申すとき、春の光に包まれているような、阿弥陀様のお慈悲の深さを感じずにはおれません。

(寺報115号)

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