十七世紀の天才的数学者ニュートンが、木の枝からおちるリンゴをみて万有引力の法則を発見した。中学校で習った微分積分という数理も彼が解明したという。そんな大科学者が熱心なキリスト教信者だったというが、どうして神や天国の存在を信じていたのだろうか。彼はいう。こんな法則ではたらく宇宙を創ったのが神である。私は宇宙をつくった神の秩序の中で科学研究しているのだと。
なるほどそういえば、現在でも西洋のすぐれた科学者のクリスチャンがいるが同じ思いで科学されていることを聞いたことがある。それを思うと、私共仏法者もまた、仏さまのさとられた法=無我縁起の法則の中で人生生活をいとなんでいるのである。如来の本願大悲の中で日々の人生のいとなみがあることを味わうのである。
六連島(むつれじま)の妙好人、お軽(かる)さんのうたに、
鮎は瀬に住む
小鳥は森に住む
わたしゃ 六字の うちに住む
このうたを最近とくに有難く味わわれてならない。この私はどこに住んでいても、どんな境遇の中に日ぐらししていても、いつも如来さまのお六字の中に、本願のお慈悲の中に住んでいるのである。
わたしの人生生活のいとなみはいつも如来の智慧慈悲の法の中にある。如来大悲のお念仏の中に人生のすべてのいとなみ、政治も経済も化学も教育も文芸も労働も、如来の本願の法の中でのいとなみである。そこに念仏の世界観が存するのであろう。
(寺報101号)
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